テフロンは、合成ゴムにはない性質を生かしてパッキンとしても利用されている素材です。今回は、テフロンパッキンの特徴・用途、メリット・デメリットや、よくお問い合わせのある耐熱温度について詳しく解説していきます。
テフロンパッキンの特徴・用途・メリット・デメリット
テフロンとは、米国ケマーズ社が持つフッ素樹脂一般の商標のことで、一般的にはPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)のことを示します。テフロンは、その優れた化学的性質、電気的性質、耐熱性などにより広く一般工業界に普及していて、現在ではフライパンやアイロンの表面処理など身近なところにまで活用されています。そのようなテフロンを用いたパッキンが、テフロンパッキンです。
テフロンパッキンの特徴・用途
テフロンパッキンは、フッ素樹脂を基本材料として密封部品に応用したものです。テフロンパッキンは耐熱性・耐寒性に優れているので化学的な変化に対して強く、真空状態から高圧下まで幅広い条件でも利用可能です。
テフロンパッキンのメリット
テフロンパッキンのメリットとして、以下3つが挙げられます。
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・耐薬品性に優れている
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・耐候性に優れている
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・耐熱性に優れている
耐薬品性に優れている
テフロンパッキンは、ほとんどの化学薬品に対して非常に安定した性質をもっており、耐薬品性に優れた性質を持っています。そのため、化学物質の影響で一般的な合成ゴムが使えないケースでも、テフロンパッキンをシール材として利用できます。
耐候性に優れている
テフロンパッキンは、紫外線、湿気など、劣化の外的要因に対しても耐性が高いので、長く使えます。
耐熱性に優れている
テフロンパッキンは、条件によって異なりますが、一般的に下は-100℃から、上は260℃まで利用可能とされています。そのため、合成ゴムだと対応が難しい温度領域でも利用可能です。
テフロンパッキンのデメリット
テフロンパッキンのメリットとして、以下2つが挙げられます
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・クリープを起こしやすい
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・漏れ率が高い
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・一般の接着剤では接着しにくい
クリープを起こしやすい
テフロンパッキンは、テフロンはクリープを起こしやすい特性があります。そのため、一旦部品として組み込まれると元の形状に戻すのは難しくなるので、同じパッキンを他の場所で再利用するのは難しくなります。
漏れ率が高い
テフロンパッキンは、弾力性が劣ることから一般的な合成ゴム素材のパッキンに比べると漏れ率が高くなる傾向にあります。表面仕上げの改善により改善できる余地はあるものの、その範囲二限界があります。そのため、温度や化学的環境の点で過酷な条件がないのであれば、テフロンパッキンではなくフッ素樹脂素材の柔軟性を高めたハイパーシートを使用するのがよいでしょう。ハイパーシートはゴアテックスなどの商標が有名です。
一般の接着剤では接着しにくい
テフロンは一般の接着剤では接着しにくい材料です。そのため、接着をするときは専用の両面テープや接着剤を使用する必要があります。
テフロンパッキンとフッ素樹脂の違いは?

テフロンは、冒頭でも記載したとおり米国ケマーズ社が持つフッ素樹脂製品を表す登録商標です。テフロン自体はPTFE以外のフッ素樹脂にも用いられていますが、一般的にテフロンといえばPTFEのことを指します。近年では、さまざまな会社がPTFEを含むフッ素樹脂の商標を登録しています。以下の素材は、東京機革が加工実績のある材料の一例です。
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・テフロン(ケマーズ)
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・バルカー(バルフロン)
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・ニチアス(ナフロン)
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・日東電工(ニトフロン)
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・淀川ヒューテック(ヨドフロン)
一方で、広い意味ではPTEFを含み以下9種類あって、それぞれ特徴が異なります。
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・PTFE(Poly Tetra Fluoro Ethylene)
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・FEP(Fluorinated Ethylene Propylene)
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・PFA(Per Fluoro Alkoxy polymer)
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・ETFE(Ethylene Tetra Fluoro Ethylen copolymer)
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・ECTFE(Ethylene Chloro Tri Fluoro Ethylene copolymer)
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・PCTFE(Poly Chloro Tri Fluoro Ethylene)※ダイフロンが代表例として有名
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・PVdF(Poly Vinyli dene Fluoride)
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・PVF(Poly Vinyl Fluoride)
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・TFE(Tetra Fluoro Ethylene)
テフロンパッキンの耐熱温度は?

テフロンの融点は327℃で、耐熱温度は260℃とされています。そのため、自動車や航空機の内部部品など高温環境になりやすい環境における素材として使用されています。ただし、耐熱温度は環境によっては低くなることがあるので注意しましょう。たとえば、高圧下で用いる場合だと耐熱温度は260℃よりも下回ることが想定されます。したがって、耐熱温度260℃はあくまで目安として考えて、実際の使用環境で問題がないかを検証した上で利用するようにしましょう。
テフロンパッキンの主な加工方法
テフロンパッキンを作るための主な加工方法として、以下5つを解説していきます。
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・プレス加工
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・抜き加工
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・切削加工
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・シャーリングやスリッターなどの手加工
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・カッティングプロッター加工
プレス加工
テフス加工とは、金型にテフロンを入れて、上下からプレスして成形する方法です。金型の形状を工夫することで複雑なパッキン形状にも対応できるメリットがあります。金型が高価になるので、切削やカッティングプロッタに比べると相応の生産量が必要になりますが、生産量がまとまるとコストメリットの出る加工方法です。
抜き加工
抜き加工とは、刃物をつけた抜き型でシート状のテフロンを打ち抜く方法です。プレス加工と異なり金型は不要で、木型(ビク型)などの安価な型で大量に生産できるメリットがあります。立体的な加工は無理で、二次元の加工しかできませんが、平面的な形状や穴あけ程度であれば、抜き加工でも実現可能です。
切削加工
切削加工とは、丸棒材や板材のテフロンから削り出して加工する方法です。切削加工は形状を比較的自由に作れるメリットがあるものの、一般的にコストのかかる加工方法です。しかし、形状やロットによっては、他の加工方法よりも切削加工の方がコスト面で有利な場合があります。特に1個から製作するような極小のロットだと、切削加工での対応がおすすめです。
なお、丸くて幅が細いガスケットを作る場合、板材から作ると内径がまるまる無駄になってコストが高くなります。コストを安くするには、適当な寸法のパイプを作ってカットして無駄な材料代が発生しないようにするとよいでしょう。一方でパイプをわざわざ作るにはロットも必要で納期もかかります。そのため、少量短納期の場合は板から、大量で納期が長くてもよい場合はパイプから作るのが一般的です。
また、板から作る場合は厚さが限られます。板の規格がある厚さでしか作ることができないからです。テフロンバックアップリングの場合だと厚さの規格が1.9mmや2.75mmなど半端寸法になります。どうしてもすぐに必要な場合は、お客様と相談の上で近い寸法の板材から作る場合もあります。電気特性に優れているので、絶縁材を作るのにも使われる加工方法です。
シャーリングやスリッターなどの手加工
シャーリングやスリッターなどで、直線的に加工する方法です。
カッティングプロッター加工
カッティングプロッター加工とは、CADの図面どおりに刃物が動いて、板状の品物に切っていく加工方法です。型代を必要としないことがメリットで、20個未満程度の小ロットで薄いシート状のテフロンをカットするときに適した方法です。
テフロン製造における環境課題
テフロンの製造工程で使われるPFASが環境汚染物質として近年注目を集めています。今後どのような規制をされるのか、注目されるところですが、2023年6月時点では以下の対応が一般的となっています。
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・主力メーカーでは、本件の詳細情報(使用の有無)については非開示となっている
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・規制物質の定義や規制内容等の詳細も未確定の部分があるので、どの原料メーカーも具体的な回答を控えている
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・ただし、原料メーカー各社は環境規制強化の状況下でもふっ素樹脂事業を継続・発展させて行くことを明言している。
原料の規制については、将来的に変化することも予想されるので、最新の情報をご確認ください。
まとめ
耐薬品性・耐候性・耐熱性に優れたテフロンですが、合成ゴムに比べると弾力性や漏れ率の点でデメリットがあることには留意が必要です。また、加工の際には形状、用途、必要数量にあわせた加工方法を選択する必要があります。テフロンの製造・加工先をお探しなら、昭和8年創業の加工のプロである株式会社東京機革までご連絡ください。短納期・小ロットであっても可能な限り対応してまいりますので、まずは電話(03-2623-0111)、FAX(03-3621-1923)、または以下のお問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。さまざまな加工方法の中から最適な組み合わせをご提案いたします。
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